なぜ円安は止められないのか?|お金の教室
こんにちわ。
今日もまた円安のお話しです。先日、メンバーさんとお話ししていた話題の中に、やはり触れずにいられないところという気がいたしました。円安による、物価の上昇がかなり顕著になってきているということでした。
皆さんも、肌身で感じているのではないでしょうか?
ニュースでも連日安値更新が騒がれています。
先日また、2度目の為替介入が入り、円は152円から146円に一気に下がりました。
しかし、これも一時の時間稼ぎに過ぎないと言われています。
何故なのでしょうか?
最大の理由は、金利を上げられない日本と金利を上げ続ける世界各国との金利差です。
金利が上がらない国の通貨を持っていても利息がつかないからです。
だったら、日本円を売って他の国の通貨を買った方が利息がつくから得だよね。ということです。
では、日本の政府はそんなあからさまに円安が進むことを見過ごし、容認しているのでしょうか?
そこには、政府や日銀が金利引き上げを実行できない「4つの理由」があります。
まず、一つ目、
金利が上昇すると、政府の「借金」が増加する。
政府が金利上昇を望まないのは、金利が上がると政府の利息の支払いが増えるからです。
現在、日本政府は約1000兆円の借金を抱えています。先進国の中では突出した水準です。
現時点では、日銀はゼロ金利政策を継続しているので、政府の利息の支払いはごくわずかな水準に抑えられています。しかし、もし日銀が金利を引き上げた場合、話は大きく変わってきます。
日本政府の予算は、年間約107兆円ですが、このうち税収でカバーできているのはわずか57兆円です。残りは全て国債という政府の借金で賄われています。
ここに、もし金利を3.5%と、米国並みの金利に上昇すると、利息の支払い金額は約35兆円になってしまいます。
これは、税収の約60%に当たります。消費税に換算すれば、約18%に相当する巨額な金額です。
このようなことが、実際に起これば、確実に予算は圧迫され、医療や年金、防衛費など国が支払わなければならないものへと大きな影響が出てしまいます。
だから、政府は何としても金利を上げたくない、というのは本音だと思われます。
そして、2つ目、
政府と同様、日銀も金利を引き上げたくありません。
なぜか?
2022年6月末時点において、日銀が保有する国債の残高は542兆円です。
国債の半分以上は日銀が保有しているということです。
金利と国債の価格には裏表の関係が成立しています。つまり、金利が上がると、国債の価格が下落するということと同じなのです。
ですから、もし金利が上昇した場合、日銀が保有する国債価格も理論上、下落することになります。つまり、日銀は含み損を抱えることになります。
言い換えると、日銀の資産価値が下がるということです。
資産価値が下がるということは、信用が減るということにも繋がります。
なので、日銀も金利を引き上げたくない。ということです。
では、3つ目、民間企業で金利の上昇はどのような問題に直面するのでしょうか?
日本では、長い間低金利が続いていましたから、企業は事実上、ゼロコストで銀行から資金を調達することができました。
ですから、利益の少ない状態でも利息の支払いがないので、なんとか経営を維持できています。
しかし、金利が上昇すると、利息の支払いが大きくなるので、業績が悪化します。
そうなると、株価が下落したり、場合によっては資金繰りが息詰まるということも起こってくるでしょう。
業績が悪化すれば、もちろん従業員のお給料にも影響します。
なので、国内経済にとって、大きな逆風となってしまいます。
そして、最後の4つ目は、
個人の住宅ローンです。
超低金利時代が長く続いたことから、国内では変動金利で住宅ローンを組む人が圧倒的に多くなっています。
例えば、5000万円の住宅ローンの場合、金利が0.5%であれば、月々の返済額は約15万円です。これが、金利2%になると、月々の返済額は約18万5千円と大幅に増加します。
もっと金利が上がれば、返済額はより高くなるわけですから、返済ができず自宅を手放さなくてなならないという人も多く出てきます。
それでは、景気には大きなマイナス要因となってしまいます。
このように一連の状況を考えると、日本では安易に金利を引き上げることができない、日銀も量的緩和策を継続せざるを得ない状況となっており、これがさらに円安を加速させる作用をもたらしています。
このような背景は世界の投資家には知られ尽くされているので、こういった日本の現状の足元を見られ、投機的な円売りが行われていることは確かであり、日本は何か次の手をうっていかなければならないことには間違いありません。
しかし、私たち一個人は、国の政策を待っていては、自分の生活の現状維持、それ以上の豊かな生活というものに辿り着けるかわかりません。
自分の身は自分で守る。ということがより賢明になってくる時代なのでしょう。
この円安を利点にとって上手く活用していける方法を見つけることが今にあった生き方と言えるのかも知れません。
今日のブログを最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
このブログを通してみなさんのお役に少しでも立てれば光栄です。
このご縁に感謝いたします。
松立 美香
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